歯についての豆知識

エッセンとフレッセン

ドイツ語で食べることには2つの単語があります。
エッセン(essen)《人が食べること》とフレッセン(flessen)《動物が食べること》です。
フレッセンは生命維持のため餌を食べる“食”でエッセンはエネルギー源のみでなく、家族や仲間と語らいながら楽しく食べる“食”です。
子供の心理発達にもエッセンが重要であるということです。


最近、エッセンしてますか?

母親と子供

う触原因菌は2歳から4歳頃に親(保育者)から子供に感染することがわかっています。
特に同じ箸で食事をすることや親が噛んで細かくしてから与えるなど、また、子供が2歳になるまで親がキシリトールを摂取し続けると、子供のう触原因菌の数が有意に 低下するという研究結果が出ています。

う触原因菌の保有数が多い親はこの時期食べ物の口移し、またご自分の口腔ケアには注意が必要です。

肩こりと歯の関係

歯のかみ合わせの悪さが 肩こりの原因になることもあるのをご存知ですか?
口の中の悪い刺激は脳に伝わりあごを動かす筋肉に さらにかみ合わせをずらすように指示します。
いわゆるかみ癖というものです。

あごがずれると周りの筋肉は疲労し、それを肩や首、腰まで使って カバーしようとします。
歯並びだけでなく、かんだ時に歯が力学的に 左右均等に安定してることが肝心です。
肩こりの原因がかみ合わせにある人は どんなケアも一時凌ぎにしかなりません。
心当たりのある方は一度かみ合わせにずれがないか調べてみましょう。

糖尿病と歯周病

最近の歯科の研究で腫れている歯周組織(歯の周りの骨や歯肉など)で産生される炎症性物質が糖尿病の進展や発病に影響があると推測されています。
糖尿病などの全身疾患が歯周組織に何らかの影響を与えていることも考えられています。
さらに体格指数(BMI=体重Kg÷身長m2)が高いほど歯周病の有病率が高いことが明らかにされています。

肥満が直接歯周病に影響を与えるかどうかは明らかではないのですが、肥満で肥大した脂肪細胞が炎症性物質を産生する内分泌器官として捉えられるようになってきました。

この脂肪細胞で産生された炎症性物質が血流を通して歯周病の炎症に関与しているといわれています。

また、歯周病が改善すると糖尿病も改善されたという報告もあります。

妊娠中の方に

妊娠するとホルモンのバランスで歯周病になりやすく、 それが胎児に感染することがしられています。
さらに近年妊娠中の歯周病が 早産の原因になることがアメリカで報告されました。

歯周病菌が血管内に進入して、 早産や低体重児出産を引き起こす危険性は 50%以上にもなるという報告もあります。
これは飲酒や喫煙、高齢者出産より高い確率なのです。
ただし、歯周病は早期に治療すれば危険なのもではないため、 妊娠したらまず歯科医院を訪ねるのが一番。
痛みを伴わない歯肉炎は見落としがちなので 歯茎の炎症や出血、腫れなどがないか こまめに専門家のチェックを受けましょう。

虫歯になりやすい人となりにくい人

虫歯はなりやすい人となりにくい人がいます。
虫歯の原因には

1.歯自体に原因がある人
 歯質が弱い人(遺伝的、胎児期・小児期の因子によるもの)
 歯並びが悪い人(特に奥歯などがかみ合って人)

2.口の中の細菌の量が多い人
 虫歯の多い母親を持つ人
 虫歯の治療の経験のある人
 今虫歯がある人

3.唾液の量が少ない人
 口が渇きやすい人
 ストレスの多い人
 薬の副作用によるもの

4.食習慣・生活習慣の乱れている人
 甘いものをよく食べる人
 間食の多い人
 生活が不規則な人
 妊娠中の人

5.加齢的変化
 歯の交換時期にある子供
 歯肉が下がり歯の根が見えてきた人

大豆パワー

健康食ブームで見直されてきている大豆ですがその大豆に含まれる代表的な栄養成分として「イソフラボン」があります。
女性ホルモンに似た働きをして更年期障害の緩和、骨粗鬆症や乳ガン、子宮ガンの予防などに効果があると実証されています。

また男性の前立腺ガンの予防効果も期待されています。
他にも高脂血症や高血圧症などを防ぐ栄養素が含まれています。

大豆といえば納豆ですが・・・

納豆には大豆を上回る栄養素が含まれます。 心筋梗塞や脳梗塞の原因となる血栓を溶かすナットウキナーゼ 骨の形成を促進し、骨からカルシウムが出て行くのを防ぐビタミンKが含まれています。
あまり気にしたことはないでしょうが納豆の食べあわせについて考えてみましょう。

納豆といっしょに食べるとより効果がある食べ物はネギ・のり・キムチ・大根おろし・納豆といっしょに食べるとどちらかの栄養素が無駄になってしまう食べ物は ほうれん草(ほうれん草の鉄分の吸収阻害)、卵白(納豆の酵素の働きを助けるビオチンの吸収阻害)、 マグロ(マグロのリジンの吸収阻害) 、薬のワーファリン(抗凝血作用の低下)。
納豆以外の大豆製品では豆腐とゴマ(豆腐のカルシウムの吸収阻害)、高野豆腐と青身魚(食べ過ぎるとガンや生活習慣病につながる恐れ)。

耐える心の発達と間食摂取

泣けばすべて望みが叶うという環境で育った子供の耐える心は育たないと言われています。
これは歯科治療での泣きにつながっていると思われます。例えば決まった時間におやつを与えていたとします。
その日子供は10分前にねだったとします。 10分前に与えようが10分待とうが栄養学的には同じです。
しかし、この10分を我慢させることが耐える心の発達につながるのではないかと思われます。
大人にとってはたかが10分でも、子供にとっては一生につながる時間なのかも知れません。

さて、実際に1960年スタンフォード大学の4歳児を対象におこなった “マシュマロテスト”についてお話します。
このテストは『これからお使いに行くが、帰ってくるまで待てたらご褒美にマシュマロを2つあげよう。
でもそれまで待てないなら1つはすぐに食べてもいいよ。』というものです。
これは4歳児にとって欲求と自制の大きな試練です。これらマシュマロの誘惑に耐えた園児が青年期を迎えたとき、対人性にすぐれ、自己主張ができ、困難に適切に対処できるなど より高い社会性を身につけていたと報告されています。

乳歯の運命

子供の歯の運命を左右する因子は妊娠初期の7週目ごろから影響し始めます。7週目というのは胎児の歯の芽ができる時期です。
このころまだ細胞の集まりでしかないですが 妊娠4ヶ月ごろからカルシウムの沈着が起こり始め少しずつ硬い歯になっていきます。
同時期に永久四の芽も乳歯の芽の下にでき始めます。
つまり妊娠初期の7週目ごろからお母さんが しっかり栄養をとることが大切なのです。

歯を作るのに欠かせない『カルシウム』『たんぱく質』『ビタミンA』『ビタミンC』『ビタミンD』をバランスよくとるように心がけましょう。
とはいえこの時期はちょうどつわりで食欲も落ちるときです。
食べられない状況が長く続くと弱い歯ができたりあごの成長が不完全だったりすることもあるので注意したいものです。

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